するもの書き置き場

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日本でメタルが流行らない理由って?

日本において、街中を歩いていてメタルというジャンルの音楽を耳にする機会は非常に少ない。というか、メタル好きな人を基本的に観測出来ない。ライブに行けばこれだけいるんだ、という気持ちにはなるが、日常生活で…例えば職場で音楽の話になった時に、私はメタルが好きと言ったとして同じく!と声を上げる人が同様にいる確率はかなり低いのが現状だ。何故、そんなことになってしまったのだろう...?

 

1980年代……メタルが勢いのあった時代

1980年代と言えば、Xや聖飢魔IIがお茶の間にメタルを持ち込み商業的にも成功、SHOW-YAが当時としては異例のガールズメタルバンドとしてヒット、LOUDNESSは本格的に世界に打って出るなどメタルシーン界に1番勢いがあった時代とも言える。

ただし聖飢魔IIやXはある種音楽よりもそのキャラクターが受けたところはあるのは忘れてはいけない。正直テレビ局もよくメタルを理解せずそのキャラクターだけを押し出してるような感じはあった訳だし。結局のところテレビ局にいいように使われて変なイメージが先行したというのは今後長くこびりつくイメージになってしまった気がしてならない。

 

1990年代……ここが運命を分けた

1990年代のメタル界と言えば、世界的に見ても激動の時代である。Nirvanaに代表されるオルタナティブ・ロックやグランジ、Panteraに代表されるようなグルーヴ・メタルオルタナティブ・メタルバンドが受け始め、これまで流行っていたメタルバンドは恐竜の絶滅の如く消えて行く、もしくは一時的にフェードアウトしてしまう。

日本においてはXを始祖とするヴィジュアル系が流行るも、それはメタルの人気には貢献することは無く、1980年代に売れたバンドはこの時期に解散・消滅となってしまう。

その後世界のメタル界は1990年代の中頃頃からは世界各地でメロディック・デスメタルゴシック・メタルなどメタルのサブジャンル化が進み、それぞれのジャンルで個性的なバンドが世に送り出される時代となるのだが、日本においてはメタルの低迷期は長く、アニメタルのようなイロモノに近い路線は売れたという事例はあっても、しばしの停滞期となってしまった印象はある。

個人的に、この多様化しつつあったメタルの時代に日本ならではのメタルのサブジャンルが生まれていたら日本のメタルシーンはもう少し好転していたのでは無いかと思ってしまう。

 

2000年代……ベテランバンドの再結成

2000年代に入ると、1990年代に解散したバンドが色々な事情はありつつも再結成する事例が多数発生した他、それなりの数の実力のあるバンドも生えてきたのだが、結局のところ縮小してしまったメタル界の狭い世界で売れただけとも言える状態であり、商業的に成功したという訳では無い。

 

2010年代以降……kawaiiメタルの躍進とコロナ

ようやく2010年代に入ると日本ならでは、のメタルが勃興する。その先頭に立つのはBABYMETALであり、アイドルとメタルの融合を掲げた彼女らは世界で注目を浴びる存在となる。また、嬢メタルと呼ばれるようになるガールズメタルバンドもかなりの数出てくる他、LOVEBITESはその中でも高い実力で世界に打って出た他、どちらかと言えばハードロックではあるがBAND MAIDも世界に打って出た日本のバンドである。

しかしながら2020年からのコロナ禍でその勢いも一旦止まってしまった……のだが、その後規制緩和と共に各バンドは新作を出したりライブを再開させるなど精力的に活動を始め……というのが現在の状況と言っても良いだろう。

 

新しい日本のメタルは登場した…けど

さて、2010年代以降はBABYMETALが躍進する時代であり、新しい日本のメタルというのが生まれた時代でもある。それなのに日本はメタルが流行っていないというのはどういう事なのか。

結局のところ、BABYMETALにしても音楽的に真新しいものはそれほど無い、メタルをやるアイドルという地点から飛び出せたわけでもなく、LOVEBITESにしても歌詞が英語なところから見てもわかる人には受ける曲でしかない。(だからこそ最初から世界に打って出たのだろうが)

つまりは正直なところ、音楽以外の要素で真新しさは見つけられても肝心の音楽にそれ程革新的なものは見られないのだ。嬢メタルにしても女の子がメタルやってるのが売りで、やってる事はちょっとメタルっぽくさせたガールズバンドに過ぎないし。結局アイドルと売り方変わらないのにその対象が狭いメタル好きのおじさんなんだから言わずもがなである。

正直なところ現在メタルバンドで日本国内に受けるか?と思われるのは紅白出場経験のある小野正利を擁して歌謡要素とメタル部分を上手く融合させたGALNERYUSと、再集結して昨年2022年にアルバムも出した聖飢魔IIくらい(こちらは何時まで活動するか分からない)なんじゃないかな、と個人的には思ったりする。結局のところ分かる人には分かる音楽に留まり続けているのが日本のメタルなのではないか、と思わないでもない。これでは正直流行るものも流行らない。というかそういうムーブメントを作り手や聴き手が求めているのかも非常に怪しいのだが。

 

BURRN!の功罪

日本初のハードロック・ヘヴィメタル専門誌として現在もなお刊行されるBURRN!もこういう現状になってしまった原因のひとつとしても挙げられる。有名なのは聖飢魔IIのファーストアルバムのレビューに0点を付けた事件だろうか。メタルファンは保守的とされるが、その傾向を強めたのはBURRN!のこのような姿勢ではなかろうか、と思えてならない。その結果が現在表紙にはおじさんどころかおじいちゃんと呼んでも良い年齢の外国人のベテランばかりが紹介されるという状況であり、はっきり言ってただの懐古厨雑誌になっている。

というか懐古厨ならそのままでいてくれていいのだが、0点をつけた聖飢魔IIに謝罪に行くなどぶれぶれの姿勢も目立ち最早迷走ぶりが目立つ。専門雑誌ですらこの有様なのだから、聴き手側がまともなわけがない。売れてる国内バンドを評価して育てるでもなく、偏った視点から偏った評価を下しているのではシーンも育つわけがない。これでよかった時代はそれでよかったのだろうが。

 

やっぱりメタルは取っ付きにくい?

メタルという音楽はやはり大衆には受けないのだろうか、という疑問はやはり浮かび上がる。これに関してはそうでもないのでは?と個人的には思う。

特に顕著なのはアニソン・ゲーソン辺りか。かつてはアニメと融合させたアニメタルなるものが一定の流行を見せたが、普通のアニソンでも結構ヘヴィなギターが聴けるものもそれなりな存在するし、ライトなシンフォニックメタルと呼べるもの、いわゆるクサメタル的な要素を持つものなど結構多岐にわたる。エクストリームな方向でも声優がグロウルするアルバムが出るなどしている。

特に取り上げるならばやはりJAM Projectで、アニメタルのボーカルだったさかもとえいぞうと、ハードロックな路線でもやっていたLAZYでボーカルを務めた影山ヒロノブがおり、プロデューサーもLAZYでキーボードを務めていた人物な事もあって非常にハードロック・ヘヴィメタル寄りのサウンドとなっている。他にもシャニマスのアンティーカはクサメタルの様式美を持ち合わせていたりするし、テレビ番組のBGMにもメタル楽曲が採用されている例はかなりある。つまりは別にメタルの要素が受けない訳ではないのだ。

 

メタルが流行るには

考えてみればメタルは別に大衆に受けなかった訳では無い、色物としての一面が先行したとはいえXや聖飢魔IIは商業的な成功をそれなりの年数収めていることからもそれははっきりしている。

つまりは色物と言っては言葉は悪いが、バンドコンセプトからして多少尖ったバンドが必要なのではないか。かつ、嬢メタルやV系のような特定の人にしか受けない格好ではない服装が良い。その格好のまま大学に通うような女の子がツーバスドコドコ叩いてグロウル多用するバンドでも出たらかなり話題になりそうな気がするものなのだが。まあ、BURRN!とそれを読む層には見向きもされないかもしれないけど。

BABYMETALはさっさと海外に打って出てしまったが、日本国内でそういうバンドが出ればまた色々変わってくる…気がするんだけどなあ。

 

メタルの今後が明るくなることを祈るばかり…そう考える今日この頃です。