するもの書き置き場

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するものメタルアルバムレビュー #19

今回はGloryhammerの新作、Return to the Kingdom of Fifeを紹介。

 

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曲はこんな感じ。

 

トーマス・ウィンクラーに代わって新ボーカルを迎えての初のアルバム。トーマス・ウィンクラーのソロアルバムは個人的にはメタル?という作風に仕上がってしまっていたので、こちらはどうなってしまったのかと恐る恐る聴いてみる。

 

一通り聴いた感想としては、安心という感じだろうか。流石と言うべきなのだろうか、こちらはソングライターがいる訳である種当たり前なのだが、上質なクサメタルを提供してくれている。

 

個人的には疾走感とピロピロ感が混在するこれぞGloryhammerという感じの#8が好み。

 

ただ、正直なところ前作にあったような強烈なキラーチューンがある訳ではない。正直前作がクサメタル界においても会心の出来というのはあるのでちょっと比べるのは厳しいのかな。

 

新ボーカルも全然悪くはなく、トーマス・ウィンクラーの時にはあまりやらなかったような感じの楽曲もある事で違和感というのは少ない印象。ただ、結局これをトーマス・ウィンクラーに歌わせたらどうなんだろう?という感想はどうしても浮かび上がってしまうのでその辺は避けられないのかなあ。これには時間が必要かもしれない。

 

ボーカルが突如解雇されたという点ではTwilight Forceと状況は同じなんだけど、あっちはそれなりに実績あって歌唱力という点では前任者より上のコンティさんを連れて来たのに対し、こちらは似たようなボーカルを連れてきて歌唱力は前任者よりは…って人なもので、正直内容は違うなあと。

 

個人的には上質なクサメタルを提供してくれたという事もあり結構満足。あれ?これどっかで聴いたぞって部分もあるんですよね。#10の導入部分とかはAlestormっぽいし。まあこの辺は様式美って事にしておけるレベルなので楽しみポイントかな。勿論通にも勧められるし、初心者にも勿論おすすめ出来るアルバムになってますよ。

 

個人的初心者おすすめ度 87点

個人的通向けおすすめ度 88点

個人的満足度 85点

するものメタルレビュー #18

今回はBABYMETALのThe Other Oneを紹介。

 

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10曲それぞれにテーマがある、というコンセプトらしいこのアルバムはメンバーが成人を迎え(新しく正規メンバー入りしたMOMOMETALもギリギリ20歳)明るくはっちゃけキャピキャピ、といった音楽からは離れ、シリアスな曲が続く印象。

 

特に#2はSU-METAL自ら作詞した曲らしく、その曲もシリアスさが前面に出た楽曲になっている。

 

前作は結構作品の音楽性にバラエティに富んでおり、引き出しの多さを感じさせたが、今作はプログレ路線の楽曲が続くのもひとつの特徴か。

 

ただこれ、全体を通じて見ると個人的にはメタル…なのかこれ?と思ってしまうところがある。正直これハードロックとかそっちじゃん!みたいな感想はどうしても持ってしまう。

特に後半はメタルからどんどん離れていって、聴き終わった時に何聴いてるんだろうという気持ちには正直なった。

 

楽曲の完成度は非常に高いのだが、このレビューはあくまでメタルのレビューなので…正直個人的な満足度はちょっと低い。メタルとして見なければ88点くらい取れてるクオリティの作品なのですけれど。

 

クオリティは聴いて損は絶対にしないと断言出来る程によく、SU-METALの歌唱もそんじょそこらのアイドルとは比較にならないレベルにある。

 

前作はフォークメタル的な要素を備えた曲があるくらいチャレンジングだったので個人的な音楽の好みが引っかかるところがあったけど、今回はそれが無いのが理由としては大きいかもしれない。

 

コンセプト的にはこの路線がずっと続くとは思えないのでまた注視する必要はあると思うけど、正直かわいいとメタルを融合させ、kawaiiメタルというジャンルの先頭を走り続けてきたBABYMETALが帰って来る事は正直無いのかもしれないと正直思ったし、ある種ファンもここで着いていくかどうするかの分岐点に突き付けられてるのかなあ、なんて思ったり。まあ、アイドルとしての彼女らを追う人は関係無く着いていくんでしょうけど、あくまでファンとまでは行かず、1歩引いたところで「メタルアーティスト」として音楽を見ているするもとしてはそういう感想ですかね。

 

 

個人的満足度 78点

通向けおすすめ度 82点

初心者おすすめ度 85点

 

 

余談だけどSonata Arcticaが路線変更した時の皆もそういう感想だったのかなあ、とか考えてました。

 

 

するものメタルアルバムレビュー #16

今回はANGUS McSIXのAnd The Sword Powerを紹介。

 

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解雇という形でGloryhammerを脱退し、実は法律事務所だったかを経営する事でも通の間では話題になったトーマス・ウィンクラーのソロアルバム。

 

メンバーにはFROZEN CROWNでギターをやっていたタリア・ベラゼッカ、かつてRhapsodyに在籍していたドラマーのマヌー・ロッター、ORDEN ORGANのセバスチャン・リヴァーマンがベースを務めるという布陣で、Gloryhammer同様バンドメンバーがアルバム内で展開されるストーリーの登場人物を演じている。ソングライターは敵役になってるセバスチャン・リヴァーマンなのかなあ。Gloryhammer本体よりもコスプレは個性的にはなってます。女性おるのもあるけど。

 

アルバムを見てみると、#1と#2はGloryhammerにもありがちなクサメロ楽曲といった具合。#3はキャッチーでこれはメタルなのか?と言いたくなるくらいポップな楽曲。

 

#4はベラゼッカが演じる人物について描かれた曲…のはず。これもあまりメタルサウンドの強い主張は感じられない。#5もデジタルなサウンドが際立つ楽曲。#6はしばらくぶりのかっこいいギターサウンドが際立つ楽曲。疾走感はないが。敵側の登場人物のセリフが入るけど、声はあっちの敵役ザーゴスラックスにそっくり。流石にここまでGloryhammer側に寄せる必要はあるんだろうか。

 

#7はイントロ曲。それに続いて始まる#8もまたキャッチーなパワーメタル楽曲。#9はデジタルなサウンドとギターサウンドが交互に流れてサビで合わさる王道展開な楽曲。#10は個人的にはようやくそれっぽいと思える楽曲。この楽曲が1番Gloryhammerに近い路線の楽曲なんじゃないかな。アルバムのラストを飾る#11は大作かと思いきやそうでもなく、3分半あまりの短い楽曲。歌詞までは読み込めてないのでよく分からないけど、次作へ続く!みたいな感じの終わり方っぽい。

 

比較対象はやはりGloryhammerになるのだろうが、Gloryhammerを更にメタルに馴染みのない一般人に向けて、ヘヴィなサウンドを抜き更に分かりやすくしたようなアルバム、というのが1番の印象。ただ流石に作曲能力は正直クリストファー・ボウズの不在感を感じる。まああくまでトーマス・ウィンクラーのソロアルバムとみなすならそれでいいのかなあ、という気持ちはあるけど。

 

正直なところ本家のGloryhammerと比べたら作曲能力的なところは劣り、ボーカル面では勝ってるというある種予想された通りの感じになっている。Gloryhammerのファーストアルバムのように、もう少し歌い方にレパートリー持たせてもいいと思ったけど。上手いかどうかは別としてオペラティックなファビオ・リオーネ意識した歌い方もしていたし。

 

通向けにはトーマス・ウィンクラーのちょっと癖になるあの歌声が好きな人、もしくはGloryhammerが好きという人パワーメタル好きにはおすすめ出来るかと。それなりに不満点を述べてはいるが、Gloryhammerの延長線上にある音楽ではあるので個人的な満足度は言うほど低くはない。初心者向けかどうかという話だが、初心者向けではあると思うけど個人的にはGloryhammerから聴いた方がいいような気がする。こういうプロジェクトとか系はそのジャンルのトップランナーを聴いてからの方がいい気がするので。

 

個人的初心者おすすめ度 85点

個人的通向けおすすめ度 88点

個人的満足度 83点

 

あとがき

遅れること数ヶ月後にGloryhammerもアルバムを発売する模様。なお新ボーカルはトーマス・ウィンクラーに似た、あるいは似せた歌い方をしている。似た声のボーカルに変えるくらいならもっと個性あるボーカルにした方が良かった気がする。Twilight Forceみたいな感じで。

するものメタルアルバムレビュー #17

今回はStratovariusのForth Dimensionを紹介。

 

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フィンランドのメタルバンド、Stratovariusは前作まではギター兼ボーカルとしてティモ・トルキが歌っていたが、今作から専任ボーカルとしてティモ・コティベルトが加入し、トルキはギターに専念という形でのメンバー変更があった。このアルバムはそぅいった背景から、バンドが飛躍する1歩手前のアルバムとも言える。

 

#1からいきなり疾走感溢れるイントロからトルキが歌うよりも遥かに質の高い(トルキも全然聴ける歌は歌ってたけど)ハイトーンボイスが炸裂するサビで一撃ノックアウトされた人も多いかと思われる。実際疾走チューンならStratovariusの中でも屈指の出来だと思う。#2もまたキャッチーな曲で、 何となく爽やかというか、メタルらしからぬ雰囲気を味わえる。

 

#3は現代ではほとんど聞かないようなスペーシーなキーボードサウンドから始まるミドルテンポ楽曲。#4もミドルテンポ楽曲で、こちらはギターサウンドが前に出て展開される良曲。#5はバンド名を冠したインスト曲。キーボードのピロピロがたまらん。

 

#6はイントロピロピロから始まる疾走曲。この時期のStratovariusらしい疾走曲で、6分という尺があるのを忘れてしまうクオリティ。#7は#5とは趣向を変えたイントロ曲。曲のタイトルのナンバーを唱える部分のギターサウンドが好き。

 

#8はStratovariusお得意のメタルバラード曲。バラードもしっかり聴かせられるのはこのバンドの強みだと思います。#9はこのアルバムで隠れ名曲だと思っているミドルテンポ楽曲。前作のちょっと暗い雰囲気を持ち込んだような感じも好き。#10もまた7分近い大作志向の曲。楽曲の展開がアルバム最終曲のような作りだが、#11に続く。とはいえこの曲はインスト曲。アルバムはこの曲で静かに締めて終わる。

 

メンバーはティモ・コティベルトが加入した以外は昔のメンバーで、イェンス・ヨハンソンもヨルグ・マイケルもいない布陣なのだが、楽曲自体は彼らが加入した後のクオリティに負けないものがある。というかこのアルバムが作られた時にこの2人がいたらどうなっていたのだろうか。

 

初期のサウンドを残してはいるものの、完成度は高く初心者向けにも通にももちろんおすすめ出来るアルバム。個人的にはティモ・トルキ時代のStratovarius最高傑作に推す一作。

 

個人的初心者おすすめ度 87点

個人的通向けおすすめ度 89点

個人的満足度 93点

 

 

 

 

 

 

メタルっぽいアイマス楽曲レビュー #1

THEiDOLM@STER。それはそれなりに長い歴史を持つ、アイドル育成ゲームから発したBANDAI NAMCOの一大コンテンツ群であり、現状5つ(考えようによっては4つ?)のブランドを持つ。そして大手コンテンツ故に様々な音楽ジャンルの楽曲が生み出されている。

そんなアイマス(これが通称)に数年間するもはその界隈にどっぷりと頭のてっぺんからつま先まで浸かっていたのだが、今回はそんなするもがメタルっぽい楽曲をレビュー、いつもの点数付けを行いたいと思う。今回は番外編であるのでするもの満足度だけで点数をつけます。あくまでメタラーがメタル的な楽曲を聴いたという視点満足度なので、楽曲の出来そのものの評価では無い事だけはご注意を。

 

また、他の注意点として、するもは2017年頃までのシンデレラガールズ楽曲、2019年頃までのミリオンライブ楽曲にはそれなりに詳しいが、他のジャンルに関しては人伝、もしくはたまたま知った程度の楽曲の知識しかない。ので、もし入っていない楽曲があったとしてもご容赦願いたい。

また、あくまでメタルっぽい楽曲、ということでメタルに含まれるジャンルの要素を備えた楽曲くらいの感覚で紹介するのでその辺も御理解頂きたい。

 

毒茸伝説 

アイマスとメタルという組み合わせで真っ先に思い浮かべるのはこの曲を歌う星輝子というキャラになるだろう。 メタルのジャンルにも詳しいようで、他のキャラの特徴に合わせてメタル楽曲を勧める描写があるので幅広くメタルの知識があるとみて良いだろうか。

さて楽曲だが、おそらくアイマスでは初なのではないかと思われるグロウルを使い、グルーヴメタルのようなギターサウンドを聴くだけでも本格的なメタル楽曲であると思わされる。歌詞は意味まで考えるとちっとも音楽と合致しないんですけどキャラソンなのでそれはまあ置いておこう。

個人的満足度 83点

 

PANDEMIC ALONE 

星輝子の2つ目のソロ。こちらはローテンションで展開されるパートと、疾走感あるメタルらしいパートで構成された楽曲で、二面性のあるキャラクターを現すような楽曲。疾走パートは明らかにツーバスドコドコでメタラーも満足するような完成度。ギターソロも完成度高い。ところで彼女の楽曲になるとライブではヘドバンとか起こるんでしょうかね?

個人的満足度 87点

 

Bloody Festa  

先述の星輝子とは仲が良い設定の白坂小梅もメタル楽曲を歌っている。こちらはゴシック・メタルと呼ばれる分類の楽曲で、全体的に疾走感溢れる楽曲になっている。キャラの音声とよくマッチしているのも個人的にお気に入りポイント。フルバージョンではシンフォニックで緩急を付けるポイントもあるなど全体的に完成度は高い。妖精帝國とか好きな人は必聴。

個人的満足度 93点

 

華蕾夢ミル狂詩曲~魂ノ導~

つぼみゆめみるらぷそでぃーあ、あるまのみちびきと読むらしい。厨二病キャラで有名な神崎蘭子の楽曲。シンフォニックなイントロがあり、例えるならシンフォニックメタルとゴシックメタルになるのだろうか。ただ、正直なところデレマス初期の楽曲というのもあるのかそれほどメタル的な視点からは刺さるものは無い。キャラソンの範疇に留まっているというのが正直な感想。

個人的満足度 73点

 

-LEGNE- 仇なす剣 光の旋律

アニメ化した際に与えられた神崎蘭子のソロ曲。前の曲よりもかなり凝ったイントロで、クサメタラーもかなり満足する出来。強いて言うならもう少しイントロが長いといいがあくまでキャラソンなのでそれを求めるのはいくらなんでも、という感じか。終始楽曲にシンフォニックなサウンドが入っており、Rhapsodyとか好きな人にはおすすめ出来る。

個人的満足度 88点

 

夢幻ノ救憐唱 ~堕チル星ノ調ベ〜

神崎蘭子3曲目。このキャラの楽曲はぶれないという事だろうか。変わらずシンフォニックな楽曲。Rhapsodyのアルバム終わりの大作のようなイントロで初めて聴いた時仰天した。裏のコーラスがあまりにも仰々しくてびっくりしたのだが、これキャラクターの歌唱とぐちゃぐちゃにならんか?という要らぬ心配もしてしまう。キャラソンのクオリティは超えてるね。

個人的満足度 86点

 

落ちる果実 

するもがデレステをやめてしまってからの楽曲。歌うのはまたまた神崎蘭子と黒埼ちとせ。人伝に聴いて知った曲なのでフルは分からないが個人的に驚いたので入れておく。おそらくフルで聴くとだいぶ緩急効いた作品になっているのでは?と思う。正直メタルバンドがやりそうな楽曲では無く、どちらかというと何かのプロジェクトでやりそうな曲だが、Nightwishを聴いた後のような余韻を残してくれるというポイントも大きい。

個人的満足度 85点

 

Lunatic Show

作中でメタルという言葉が表現されていた…はず(輿水幸子とか姫川友紀とかいるバージョンではメタルって明言されている)の楽曲。その言葉に違わず疾走感がある。実際のメタルの世界でも相当速いと思われるのだが、言うほどヘヴィなサウンドも聴かれないのでこの楽曲そのものはメタルか…?と首を傾げたくなる感じ。ハードロックと言われればそう、と思えるのだが…

個人的満足度 76点

 

EVIL LIVE 

ゴリゴリのメタルコアやんけこれ。これだけギターリフからゴリゴリな楽曲はアイマス界探してもそうはない気がする。これだけヘヴィなサウンドを聴けるならメタルの世界においでよアイマスPさん達、と言いたくなるような楽曲。ところでデレマスさんはフルでサブスク配信しないんでしょうか。

個人的満足度 89点

 

Trust Me 

ミクスチャー、もしくはラップ・メタルまでやるんかアイマスは。結構個人的には驚き。ラップパートは正直クオリティはあくまでも声優さんがやってるのでお察しで、楽曲全体から比べるとそれほど長さも長くもなく…というところはあるが、サウンドは紛れもなくミクスチャーそのものだし、ヘヴィなサウンドもしっかりと楽しめる。女の子の声でミクスチャー聴きたい人はぜひ。

個人的満足度 84点

 

義勇忍侠花吹雪

正直メタルっぽさはそれほどないのだが、ギターのピロピロ具合が秀逸なので取り上げてみた。ギターソロは必聴。もう少しテクニカルだったらなお良いのだがいくらなんでも多くを求めすぎだろうか。まあ分類したらこれはハードロックの範疇なのかもしれないけど。

個人的満足度81点

 

 

日本でメタルが流行らない理由って?

日本において、街中を歩いていてメタルというジャンルの音楽を耳にする機会は非常に少ない。というか、メタル好きな人を基本的に観測出来ない。ライブに行けばこれだけいるんだ、という気持ちにはなるが、日常生活で…例えば職場で音楽の話になった時に、私はメタルが好きと言ったとして同じく!と声を上げる人が同様にいる確率はかなり低いのが現状だ。何故、そんなことになってしまったのだろう...?

 

1980年代……メタルが勢いのあった時代

1980年代と言えば、Xや聖飢魔IIがお茶の間にメタルを持ち込み商業的にも成功、SHOW-YAが当時としては異例のガールズメタルバンドとしてヒット、LOUDNESSは本格的に世界に打って出るなどメタルシーン界に1番勢いがあった時代とも言える。

ただし聖飢魔IIやXはある種音楽よりもそのキャラクターが受けたところはあるのは忘れてはいけない。正直テレビ局もよくメタルを理解せずそのキャラクターだけを押し出してるような感じはあった訳だし。結局のところテレビ局にいいように使われて変なイメージが先行したというのは今後長くこびりつくイメージになってしまった気がしてならない。

 

1990年代……ここが運命を分けた

1990年代のメタル界と言えば、世界的に見ても激動の時代である。Nirvanaに代表されるオルタナティブ・ロックやグランジ、Panteraに代表されるようなグルーヴ・メタルオルタナティブ・メタルバンドが受け始め、これまで流行っていたメタルバンドは恐竜の絶滅の如く消えて行く、もしくは一時的にフェードアウトしてしまう。

日本においてはXを始祖とするヴィジュアル系が流行るも、それはメタルの人気には貢献することは無く、1980年代に売れたバンドはこの時期に解散・消滅となってしまう。

その後世界のメタル界は1990年代の中頃頃からは世界各地でメロディック・デスメタルゴシック・メタルなどメタルのサブジャンル化が進み、それぞれのジャンルで個性的なバンドが世に送り出される時代となるのだが、日本においてはメタルの低迷期は長く、アニメタルのようなイロモノに近い路線は売れたという事例はあっても、しばしの停滞期となってしまった印象はある。

個人的に、この多様化しつつあったメタルの時代に日本ならではのメタルのサブジャンルが生まれていたら日本のメタルシーンはもう少し好転していたのでは無いかと思ってしまう。

 

2000年代……ベテランバンドの再結成

2000年代に入ると、1990年代に解散したバンドが色々な事情はありつつも再結成する事例が多数発生した他、それなりの数の実力のあるバンドも生えてきたのだが、結局のところ縮小してしまったメタル界の狭い世界で売れただけとも言える状態であり、商業的に成功したという訳では無い。

 

2010年代以降……kawaiiメタルの躍進とコロナ

ようやく2010年代に入ると日本ならでは、のメタルが勃興する。その先頭に立つのはBABYMETALであり、アイドルとメタルの融合を掲げた彼女らは世界で注目を浴びる存在となる。また、嬢メタルと呼ばれるようになるガールズメタルバンドもかなりの数出てくる他、LOVEBITESはその中でも高い実力で世界に打って出た他、どちらかと言えばハードロックではあるがBAND MAIDも世界に打って出た日本のバンドである。

しかしながら2020年からのコロナ禍でその勢いも一旦止まってしまった……のだが、その後規制緩和と共に各バンドは新作を出したりライブを再開させるなど精力的に活動を始め……というのが現在の状況と言っても良いだろう。

 

新しい日本のメタルは登場した…けど

さて、2010年代以降はBABYMETALが躍進する時代であり、新しい日本のメタルというのが生まれた時代でもある。それなのに日本はメタルが流行っていないというのはどういう事なのか。

結局のところ、BABYMETALにしても音楽的に真新しいものはそれほど無い、メタルをやるアイドルという地点から飛び出せたわけでもなく、LOVEBITESにしても歌詞が英語なところから見てもわかる人には受ける曲でしかない。(だからこそ最初から世界に打って出たのだろうが)

つまりは正直なところ、音楽以外の要素で真新しさは見つけられても肝心の音楽にそれ程革新的なものは見られないのだ。嬢メタルにしても女の子がメタルやってるのが売りで、やってる事はちょっとメタルっぽくさせたガールズバンドに過ぎないし。結局アイドルと売り方変わらないのにその対象が狭いメタル好きのおじさんなんだから言わずもがなである。

正直なところ現在メタルバンドで日本国内に受けるか?と思われるのは紅白出場経験のある小野正利を擁して歌謡要素とメタル部分を上手く融合させたGALNERYUSと、再集結して昨年2022年にアルバムも出した聖飢魔IIくらい(こちらは何時まで活動するか分からない)なんじゃないかな、と個人的には思ったりする。結局のところ分かる人には分かる音楽に留まり続けているのが日本のメタルなのではないか、と思わないでもない。これでは正直流行るものも流行らない。というかそういうムーブメントを作り手や聴き手が求めているのかも非常に怪しいのだが。

 

BURRN!の功罪

日本初のハードロック・ヘヴィメタル専門誌として現在もなお刊行されるBURRN!もこういう現状になってしまった原因のひとつとしても挙げられる。有名なのは聖飢魔IIのファーストアルバムのレビューに0点を付けた事件だろうか。メタルファンは保守的とされるが、その傾向を強めたのはBURRN!のこのような姿勢ではなかろうか、と思えてならない。その結果が現在表紙にはおじさんどころかおじいちゃんと呼んでも良い年齢の外国人のベテランばかりが紹介されるという状況であり、はっきり言ってただの懐古厨雑誌になっている。

というか懐古厨ならそのままでいてくれていいのだが、0点をつけた聖飢魔IIに謝罪に行くなどぶれぶれの姿勢も目立ち最早迷走ぶりが目立つ。専門雑誌ですらこの有様なのだから、聴き手側がまともなわけがない。売れてる国内バンドを評価して育てるでもなく、偏った視点から偏った評価を下しているのではシーンも育つわけがない。これでよかった時代はそれでよかったのだろうが。

 

やっぱりメタルは取っ付きにくい?

メタルという音楽はやはり大衆には受けないのだろうか、という疑問はやはり浮かび上がる。これに関してはそうでもないのでは?と個人的には思う。

特に顕著なのはアニソン・ゲーソン辺りか。かつてはアニメと融合させたアニメタルなるものが一定の流行を見せたが、普通のアニソンでも結構ヘヴィなギターが聴けるものもそれなりな存在するし、ライトなシンフォニックメタルと呼べるもの、いわゆるクサメタル的な要素を持つものなど結構多岐にわたる。エクストリームな方向でも声優がグロウルするアルバムが出るなどしている。

特に取り上げるならばやはりJAM Projectで、アニメタルのボーカルだったさかもとえいぞうと、ハードロックな路線でもやっていたLAZYでボーカルを務めた影山ヒロノブがおり、プロデューサーもLAZYでキーボードを務めていた人物な事もあって非常にハードロック・ヘヴィメタル寄りのサウンドとなっている。他にもシャニマスのアンティーカはクサメタルの様式美を持ち合わせていたりするし、テレビ番組のBGMにもメタル楽曲が採用されている例はかなりある。つまりは別にメタルの要素が受けない訳ではないのだ。

 

メタルが流行るには

考えてみればメタルは別に大衆に受けなかった訳では無い、色物としての一面が先行したとはいえXや聖飢魔IIは商業的な成功をそれなりの年数収めていることからもそれははっきりしている。

つまりは色物と言っては言葉は悪いが、バンドコンセプトからして多少尖ったバンドが必要なのではないか。かつ、嬢メタルやV系のような特定の人にしか受けない格好ではない服装が良い。その格好のまま大学に通うような女の子がツーバスドコドコ叩いてグロウル多用するバンドでも出たらかなり話題になりそうな気がするものなのだが。まあ、BURRN!とそれを読む層には見向きもされないかもしれないけど。

BABYMETALはさっさと海外に打って出てしまったが、日本国内でそういうバンドが出ればまた色々変わってくる…気がするんだけどなあ。

 

メタルの今後が明るくなることを祈るばかり…そう考える今日この頃です。